講義科目(2)医学専攻博士課程
学群名:分子病態学群
科目名:分子病態生物学
英文名
Molecular Medical Science
科目概要
博士課程 分子病態学群 2単位 講義
開講期
2024年度以降開講予定
科目責任者
堺 隆一
担当者
堺 隆一
授業の目的
本講座では、腫瘍性疾患を題材に、疾患の病態をタンパク質の機能異常として捉え、病態をきたすタンパク質の質量分析による同定、構造機能相関からの機能異常の推定、細胞や動物を用いた機能解析などの手法を教えて、本態解明と新規治療法の創出への道筋を理解してもらうことを目標とする。
教育内容
がんの発生と悪性化のメカニズムについて多面的に理解してもらう。またがん細胞の機能異常をどのように解析するのかを細胞や動物を使った研究の実例を挙げながら説明する。これらの内容を理解してもらうことにより、どのようなアプローチによってがんの特性を理解し、新たな治療法を開発していくことができるのかについて考察を深めてもらう。
教育方法
がんの発生と悪性化に関する基礎的な理解を目標として、細胞生物学、生化学、分子生物学の基本から始め、最新の研究により明らかにされたことまでを講義する。また最後の回に、がんと関係する疾患について各自で調べレポートの形で発表してもらい、討議を行う。
授業内容(シラバス)
回
項 目
内 容
担当者
1
遺伝情報の受け渡しと疾患
疾患における遺伝情報の変異とタンパク質の機能異常の関わり
堺 隆一
2
がん抑制遺伝子と遺伝性がん
がん抑制遺伝子の機能とや遺伝性のがんについて
堺 隆一
3
がん遺伝子とシグナル
がんの悪性形質に関わるシグナル異常について
堺 隆一
4
がんの進展とチロシンキナーゼ
がんの進行に伴うチロシンキナーゼの活性化の意味と解析法
堺 隆一
5
キナーゼ阻害による分子標的薬
がんの分子標的薬として用いられるキナーゼ阻害剤の実例とその問題点
堺 隆一
6
がんの進化と薬剤耐性
がんの進展過程や治療に伴うがんの遺伝的進化のメカニズムと薬剤耐性の関わり
堺 隆一
7
タンパク質の翻訳後修飾とがん
がんにおけるタンパク質の翻訳語修飾の異常
堺 隆一
8
エピジェネティックな変異とがん
エピジェネティックな遺伝情報の受け渡しと、がんにおけるその異常
堺 隆一
9
次世代シークエンサーによるゲノム解析
ハイスループットなゲノム情報の解析ががん研究に何をもたらしたか
堺 隆一
10
がんのプロテオーム解析
がんのプロテオーム解析の意義とその問題点
堺 隆一
11
がんの微小環境
がんと間質細胞や周辺環境との相互作用
堺 隆一
12
上皮間葉移行(EMT)とがんの幹細胞性
がんの悪性化に関わる特性の獲得とがんの幹細胞性との関り
堺 隆一
13
がんの転移とリキッドバイオプシー
がん転移のメカニズムとその早期診断や治療へのアプローチ
堺 隆一
14
新しい分子標的療法
エピジェネティックな異常や免疫反応を標的とした新しい分子標的療法について
堺 隆一
15
解決すべき課題と総合討論
講義全般とこの分野の研究の将来に対する総合討論・レポート課題の解説
堺 隆一
到達目標
1)がん発生と進展の分子メカニズムについて現時点で分かっていることを多面的に説明できる。
2)がんの本体解明や治療法開発に必要な実験手技について説明できる。
3)特定の腫瘍性疾患について適切な論文や資料をもとにまとめて、わかりやすく発表することができる。
2)がんの本体解明や治療法開発に必要な実験手技について説明できる。
3)特定の腫瘍性疾患について適切な論文や資料をもとにまとめて、わかりやすく発表することができる。
評価方法
レポートや論文の作成(80%)と討議への活発な参加(20%)によって評価を行う。理由なき欠席は減点の対象とする。
準備学習
(予習・復習等)
(予習・復習等)
予習は必要ないが、推薦している「がんの生物学」の該当箇所に目を通しておくことで理解が深まる
復習については配布プリントなど授業の内容を10分ほど復習すること。
復習については配布プリントなど授業の内容を10分ほど復習すること。
その他注意等
特になし
教科書
必要はないが、理解を深めたい学生にはWeinberg著「The Biology of Cancer(がんの生物学)第2版」を薦める。
参考書
必要なし